脳梗塞リハビリ田多井 津市

朝早くから夜遅くまで学びを重ねた毎日があったからこその、理論と経験に裏打ちされた、その方だけのための90分。1回1回が真剣勝負との覚悟を持って日々提供されています。

「もうここでのリハビリは必要ない、って言われるまでずっとその方の枠は確保し続けるし、僕が関わった人の人生が少しでも幸せになれるように、力を尽くしたいじゃないですか。その代わり数多くは無理だけどね。」

小さな輪でも、ずっと続けていれば社会の役に立つ。だからいくつになってもリハビリを提供し続けるっていうことだけを考えていたい、そう話す先生は温和な中にも（ここだけは譲れない、というような）強さをまとっていました。その分、必死についていけば違う未来を見せてもらえる、そんな信頼感もあります。

学生の頃は、ゴールキーパーとして県に選抜されるほどサッカーに打ち込んでいた田多井先生。

がっちりとした体格もさることながら、先生の大きくて分厚い手は、触ってもらったところにふわっとフィットし、そこから温かさがじんわりと広がっていくような安心感を与えます。

何気なく触れているだけに見えても、その方向や力加減は緻密に計算されており、気付かない間に筋肉が緩んでいたり、そのおかげでいつの間にか体の動く範囲が広がっていたりします。

後遺症などで体が動いている感覚や自分で動かす感覚が分かりにくくなっていると、それが運動の妨げになります。その状態のままで無理やり動かすより、少しでも感じやすい状態で運動することが重要で、先生はそのことを「土台を作る」と表現されていました。

運動しやすい身体の土台を作るためには、動き方の癖や触れたところからの反応、動かした時の抵抗感など、利用者さんが無意識に発している数々の情報をどれだけキャッチできるか、そしてそれに対してどれだけより良い刺激を返せるかにかかっています。

その小さな、でも重要な情報のやり取りの積み重ねが、究極のオーダーメイドな90分を作り出します。

普段はニコニコとしている先生ですが、ひとたび観察モードに入ると、どんな小さなクセや反応も見透かされてしまうような鋭い光を感じたのが印象的でした。