KIZUKI西新店 福岡市

「脳の後遺症がある方ももちろんですが、なくても、その方の体そのものを見るんです」と原田さんは言います。

プロのアスリートから一般の方、病気のある方、また年齢もお子さんから高齢の方まで幅広く対応する原田さんは、患者さんがその状態に至るまでにどんな背景を持っているのかということを大事にしています。たとえば、ある患者さんの「海外で孫と一緒に砂浜を歩きたい」という目標を叶えるために、筋力強化などトレーニング面だけでなくまずその生活習慣の見直しを提案。飲水量を増やし、栄養面からもサポートすることで、疲れやすさや体の重だるさが軽減され体の調子が整っていった結果、最終的にその方は目標を達成できたそうです。

体の内側からも改善していく視点を大事にしている点が特徴的です。

「プロのアスリートを100点満点とするなら、病気や不調を抱えた状態は50点以下かもしれません。そうした方達にも、不調が取り除けた後の70-80点を目指す方たちにも寄り添いたい」と原田さん。まずは痛みや違和感がある方の場合、レッドフラグ（見逃してはいけない疾患を示唆する徴候や症状）を確認し、必要であれば医師や専門家に紹介します。たとえば、レントゲンやMRIが必要な場合は医療機関に紹介し、その後で適切なリハビリを行います。

また、地域のつながりも活かし、ヨガやピラティスのインストラクターとも連携しています。不調が取り除けた後には、患者さんが定期的に体を動かし続けられるよう、自施設以外のインストラクターを紹介することもあります。さらに、原田さん自身もヨガやピラティスのインストラクター向けに解剖学や体の使い方に関するセミナーを開催しており、「正しい知識や体の使い方を教えることで、この地域全体としてさらに良い指導を提供できるようにしていきたい」と語ります。地域のネットワークを活用して、利用者さまの体を長期的にサポートできる体制を整えているのです。

うちにずっと通ってもらうのが目的じゃない、とも話してくれました。目指すのは、利用される方が自分で体を管理できるようになること。

「最終的には、自分の体を自分で動かせるようになってもらいたいんです」と自立を促す一方で、卒業＝終わりではないことを強調します。卒業後も必要に応じて再び相談できる体制を整えたり、ヨガやピラティスなどの専門家、地域の医療の専門家との継続的なつながりを持てるようサポートを行ったりしています。利用者さまが自立できるように支援しつつ、必要なときはいつでも戻ってきてもらえる場所を提供したい、との思いから、適切な距離で見守ってくれるような安心感のあるフォローアップ体制も強みといえそうです。